2012年は認知症患者数が462万人と、65歳以上の高齢者の7人に1人といわれた。2040年には65歳以上の高齢者層の46.3%が認知症となる可能性が予測されている。すごい数字だが、一人一人、それぞれに生き方や家庭事情がある。
認知症の主たる症状は徘徊。周りからすれば無目的で、はた迷惑な行動としか写らないだろう。しかし、本人とって徘徊にはなんらかの意味があるのだろうと考える。奇怪なこととして高齢者を咎めることは慎まなければならない。
徘徊したくなる理由がある。筆者も徘徊者の一人となっている。山登りである。徘徊の理由。それは、少々気障であるが「山がそこにある」からであるからだ。山脈を遠望するとき、その山に登った光景が脳裏に浮かぶ。この瞬間はなにごとにもたとえようがない至福の時である。そして「もう一度徘徊しよう」という気持ちが疼くのである。
徘徊には、電車の乗りたがる者もいる。長年、通勤で満員電車に揺られたに違いない。それを追体験すると考えれば、徘徊するのは納得がいく。周りがおかしいとか困ったものだと遠ざけるのではなく、その人なりの脈絡があるはずだと考える度量が欲しい。
一人家で逼塞しがちな高齢者を外に連れ出して、店員との間でこのような会話をさせたいものだ。高齢者に対応する店員研修が必要。笑って明るく接触して欲しいものだ。買い物に出るのは楽しみなのだから。次のエピソードは私の母親と医者との笑い話。
(投稿日時 2024年12月8日)