単位制や習熟度別の提案

Last Updated on 2025年1月14日 by 成田滋

2012年6月4日、文部科学省(文科省)は小中高の六三三制を柔軟にしようとする、国家戦略会議の報告書を発表しました。私も他の保護者らとでこれまで、単位制によって卒業できる条件を認める教育の仕組みを提案してきました。習熟度によって六三三という学年の壁を取り除くという提案です。習熟が進んでいても遅れていても9年、あるいは12年間、学校で学ぶという古い仕組みは時代の進展にそぐわないという理由からです。

文科省もようやく重い腰を上げて「六三三制を柔軟に」という提案をし始めました。高校も3カ年の修業から2カ年で卒業できる道が拓けます。そうすれば、一部の国立大学が提案している秋期入学に対応できることになります。

それよりも大事なことは、これまでの単線的な教育体系を複線的なものにしようとすることです。学習指導要領や教育課程に縛られる自治体の裁量が広がる可能性があるのです。例えば、文科省の指定を受けることなく、自治体の判断で一貫教育が可能になり、自治体の創意工夫が促進されるはずです。

習熟が進む生徒には、さらに習熟度を伸ばすために高い教育を授けなければなりません。高校3年という枠に縛られていては、伸びる能力が滞るのです。習熟が困難な生徒は最低の学力がつくまで学ばせ卒業させるのです。トコロテンのように押し出すような卒業体制では、基礎となる学力がついていない生徒がやがて苦労するのは目に見えています。12年間に拘らず、たとえ15年間の教育を受けることになってもそれは決して無駄にはなりません。

私は習熟度別や単位制の教育体制に賛同する一人ですが、文科省も自治体も一向に現在の学校教育のあり方を変えようとしません。前述した国家戦略会議の報告は棚上げされたままです。

成田滋のアバター

綜合的な教育の支援ひろば