ホームスクールと法的論争の歴史

Last Updated on 2025年3月10日 by 成田滋

合衆国におけるホームスクール(HS)の合法性は、1852年にマサチューセッツ州で義務教育が始まって以来、教育者、議員、保護者の間で何10年もの間議論されてきました。議論の焦点は、親が子どもを学校に行かせず、家庭で教育することが合法かどうかに絞られ、HSの支持者と公立学校の存在と役割を支持する人々が対立してきました。

 1980 年代後半以降、HSの合法性についての焦点は、もはや深刻な議論の対象ではなくなっていますが、法的問題は、HSのコミュニティが州の学校の資金や施設、およびリソースを利用できるかどうかに移ってきました。カリキュラムや標準テストなどの分野に関して、州がHSの家族に対してどの程度の権限を行使できるかについても法的な論点となりました。

 2008年、カリフォルニア州控訴裁判所の 3 人の裁判官からなる審理委員会は、子どもは資格のある家庭教師または教員資格を持つ人物によって教えられなければならないと、全員一致で判決を下します。裁判所は、「家庭での子どもの教育は、その教育の質がどうであれ、私立の全日制学校や公立の全日制学校での義務教育の教員免許を持つ者が家庭教師でなければならない」と裁定します。しかし、2008年8月、裁判所は以前の判決を全員一致で覆す新たな判決を下し、さらにカリフォルニア州ではHSは合法であるとします。

 合衆国最高裁判所はHSについて特に判決を下したことはありませんが、「ウィスコンシン州対ヨーダ裁判」(Wisconsin v. Jonas Yode)は、宗教上の理由でアーミッシュの親が子どもを公立学校に通わせない権利を支持します。と同時に最高裁判所は、親には「家庭を築き、子どもを育てる」という基本的権利と「自分の良心の命じるままに神を崇拝する」という権利があると判決しました。この権利の組み合わせは、最高裁判所の「適正手続き条項によって保護される自由」という概念の下で、ホームスクールを基本的権利とする根拠となっています。

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