Last Updated on 2025年1月7日 by 成田滋
アメリカで”America 2000″という教育改革の柱が打ち出されたことがあります。2000年のことです。その中の特別支援教育に”Inclusion”が入れられました。その意味は、「全ての児童と生徒は、障がいのある生徒を含めて課題を解決し目標を達成するために、級友と協力して活動できるような対人関係、及び社会生活の諸技能を身につけなければならない。友達関係と社会関係の形成は教育的経験の重要な要素である」とあります。
障害者の権利に関する条約第24条によりますと、「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system)、または「包容する教育制度」とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするという目的のもとで、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みです。
障害のある者が教育制度一般(general education system)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされています。
インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要です。小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが求められます。
こうしたシステムで大事なことは、学ぶ者にとって最も制約の少ない学習環境(Least Restricted Environment)であるということです。
インクルーシブ教育システムの構築,基礎的環境整備,合理的配慮というキーワードが広まりつつあります。そして,例えば現実にLDに対する読みのICTツールが有効だとわかっていたとして,導入や活用を進めて行くにあたって実際に最もハードルとなるのは何かと考えたとき,学校とはこういうものだという既存の枠組みであったり,従来からの一斉指導型の授業,テストや考査に対する公平さのとらえ方であったり,つまり私たちの意識ではなかろうかと思います。その子どもの能力が最大限発揮できるようにする方法が見つかったとして,それをどのように合意を得て実施できるようにするかがポイントになってきているように感じます。