心理学のややこしさ その八 「Philosophy」

前回、西周が「philosophy」を「希哲学」という造語をあてたことを述べました。このような単語を造ること自体凄いことです。「哲学」そのものが難しい術語です。

ギリシャ語は学問で使う用語の多くを創出しています。古代ギリシャ人の知識に敬服したくなります。「philosophy」もまたギリシャ語の「philosophia」に由来します。「philo」はギリシャ語の「philein」(愛)から生まれています。「sophia」とは智、上智、知性などを意味します。ですから哲学を「愛智」という言い方もあるほどです。

「岩波哲学・思想事典」によりますと、哲学とは、「世界や人生などの根本原理を追求する学問」とあります。古代ギリシャでは学問一般として自然を含む多くの対象を包括していたようです。やがて諸科学が分化し独立することによって、哲学はその対象領域が限定されていきます。ですが、知識の体系としての諸学の根底をなすという理念と性格はいまだに失われていません。