英語あれこれ その13  ヘブル語とユダヤ人 その3 Diaspora

ディアスポラ(diaspora)とは、「散らされた者」という意味のギリシャ語に由来する。生まれ育った所や民族の居住地を離れて暮らす国民や民族の集団、ないしコミュニティを意味する。その他、ディアスポラは、離散すること自体を指す。ディアスポラと難民との違いだが、前者が離散先での定着と永住を示唆しているのに対し。後者は、元の居住地に帰還する可能性を含んでいる。

旧約聖書時代からの歴史によって、イスラエルやパレスチナの外で離散して暮らすユダヤ人集団のことを固有名詞の「Diaspora」と呼んでいる。民族等を指定せず一般の離散や定住集団の場合は、「diaspora」となり、他の国民や民族を含めたを意味する。大文字と小文字では意味が異なる。

ユダヤ系のディアスポラのうちドイツ語圏や東欧諸国などに定住した人々、およびその子孫をアシュケナジム(Ashkenazim)指す。語源は創世記(Genesis)10章3節とか歴代誌(Book of Chronicles)上1章6節に以下のように登場するアシュケナズ(Ashkenaz)である。”The sons of Gomer: Ashkenaz, Riphath and Togarmah.” 「ゴメルの息子の一人がアシュケナズである」という記述だ。

アシュケナジムは、ヨーロッパやイスラム圏の直接交易が主流になる貿易商人として活躍した。しかし、次第にユダヤ人への迫害が高まる。反ユダヤ主義である。交易の旅が危険になるとともに定住商人となっていく。貿易で栄えたヴェニス(Venice)は定住地の一つといわれる。

反ユダヤ主義者の主張とは、「ユダヤ教は強烈な選民思想であるがゆえに排他的な思想であり、キリスト殺害の張本人であり、金融業で財を成した」などがある。こうしたキリスト教中心主義的な発想がエスノセントリズム(ethnocentrism)、自文化中心主義や自民族中心主義を醸成し人種差別(racial discrimination)を正当化していく。

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