笑いは万国共通の表現です。この感情表現は言葉の理解によって生まれまが、例外はパントマイムです。落語は日本語をよく理解していないと伝わりにくいといわれがちです。そうなると「落語は外国人に通用するのか」という疑問が浮かびます。ご存知かもしれませんが、何人かの噺家さんは、外国人を相手に国内や海外で公演やイベントを開いています。
その内の一人が三遊亭竜楽です。英語だけに留まらず、中国語やフランス語など8カ国の言語を使って落語を行なっている活躍振りです。英語での小噺です。桜の花見にでかけたときに、友人にそのときの情景を語ります。酒がうまかった、串焼き、寿司は美味しかった、通りがかりの女性が綺麗だった、若い少女はセクシーだった、、などなど。そこで友人が聞きます「桜はどうだった?」「I don’t remember,,,,」 まさに花より団子という噺を語ります。
桂かい枝という噺家もいます。師匠である5代目桂文枝さんの高座に惚れ込み、大学を卒業後に入門します。その後外国人に落語を広めるために、英語での公演を21カ国で300回以上も行なっているというのですから驚きです。「動物園」という新作落語です。ある男、動物園で職を見付けます。虎のぬいぐるみを着て子どもや大人を楽しませる役です。台詞の英語も面白いのですが、仕草が絶妙で台詞はいらないほど外国人を笑わせます。
古典落語を本格的に英語で演じる噺家に立川志の春がいます。イェール大学卒業という経歴から英語が得意だったこともあって外国人観客を笑わせています。「藪入り」という演目も筋書きを忠実に演じています。立川志の春は云います。「英語落語は、中学校レベルの英語で楽しめる!」。日本語と英語は文法が違うから、落語の面白さは伝わらないんじゃないの?という問いに対しても「全然そんなことはなくて、、」というのです。「英語に触れる機会として落語がある」というのは含蓄ある言葉です。
また最近では外国人落語家という人も活躍しています。その人が外国人落語家の桂三輝さんです。これでカツラサンシャインと読みます。桂三輝はカナダ生まれですが、いつしか落語に興味を持つようになり、現在ではニューヨークに拠点を置き、落語の活動をしているのです。得意な演目が長助という男の長い名前によって起こる笑いを主題とした古典落語「「寿限無」です。ダイアン吉日という女性噺家もいます。