【話の泉ー笑い】 その二十九 落語 その3 オチと演目

多くの場合、「落ち」は「オチ」、「下げ」は「サゲ」とカタカナで表記します。「オチ」(サゲ) は落語の中で笑いを誘う生命ともいうべき重要なものです。これにはいくつもの型があり、なかには一つの落語で2種、3種を兼ねている場合もあります。オチとは、長い歴史のなかで幾多の落語家が創意工夫を凝らして作ったものです。この「落ちの種類」は、『落語の研究』(大阪・駸々堂書店)で分類が試みられ、それから人々の関心が寄せられるようになったといわれます。以下、オチの種類と演目を紹介しておきます。演目は小生が聴いたことがあるものだけです。

地口落ち:
 大阪では「にわか落ち」といわれるオチです。オチが駄洒落になっているもので、落語のオチのなかではもっとも多いといわれます。『富久』『大工調べ』『鰍沢』『大山詣り』『錦の袈裟』『天災』などがあります。

考え落ち:
 このオチは、演目を聞いているとなるほどと思われ、笑いが生まれるものです。よく考えないとわからない落ちともいわれます。その代表には『そば清』『蛇含草』『妾馬』などがあります。

しぐさ落ち:
 言葉に出さず、しぐさで見せるオチです。『死神』『こんにゃく問答』『猫久』『お菊の皿』『ちりとてちん』どれも笑える演目です。

住吉神社

仕込み落ち:
 あらかじめオチの説明を「枕」といわれる導入部)あるいは筋のなかで入れておくと笑えるものです。『明烏』『真田小僧』など。

とたん落ち:
 最後に落ちるとたんに、そのオチのひとことで咄全体の筋がうまく決まる演目です。最後まで聞かないと笑えません。『寝床』『愛宕山』『笠碁』『後家殺し』『幾代餅』『藪入り』『お化け長屋』『芝浜』『二番煎じ』など古典落語の名作に出てくるオチです。

ぶっつけ落ち:

佃の渡し


 互いに言っていることが通じないで、別の意味にとって、それが落ちになるのです。『らくだ』『あくび指南』『抜け雀』『お化け長屋』などがその例です。

まぬけ落ち
 誠にばかばかしい間抜けたことで結末を迎えるオチです。行き倒れの自分の死骸と錯覚して、抱え上げた粗忽者、「この死人はおれにちげいねい、抱いている俺はだれだろう?」『粗忽長屋』『夏の医者』『代脈』『長短』『転失気』『時そば』など優れた古典落語に多いです。

逆さ落ち:
 落ちになる内容を、そのまま先に言ってしまっておく。『片棒』『死ぬなら今』が好例です。

見立て落ち: 
 意表をつくものを見立てるオチで、『たぬき』『たがや』などの演目です