ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十五 カリフォルニア州 The Golden State

日本人に最も馴染みのあるカリフォルニア州(California) は南北に長い形をしていて、北はオレゴン州に東はネバダ州・アリゾナ州に、最南端のサンディエゴ(San Diego) からはメキシコと国境を接しています。長い海岸線や高低差によって、海岸と内陸ではかなり気温や気候が異なります。この気候は地中海性気候といわれています。降雨量が少ないのと急激に人口が増えたために水資源の不足がしばしば取りあげられています。

州都はサクラメント(Sacramento)です。「アメリカの学校 その十四 サクラメントの学校」でも紹介していますが、ブドウ畑が広がるナパ・バレー(Napa Valley)から東へ向かうとサクラメントに着きます。西部開拓時代の街角のOld Townは保存されていて当時の開拓時代の気分を味わえます。

動く石

カリフォルニアといえばロサンゼルス(Los Angels)やサンフランシスコ(San Francisco)、サンディエゴなどの大都市ですね。ロサンゼルスはハリウッドを抱え娯楽産業の世界的中心となっています。サンフランシスコを中心とするベイエリア(Bay Area)は、シリコンバレー(Silicon Valley) をはじめ、全米で最も経済的に進んだところです。農業が盛んなのは中部です。サンディエゴは気候が温暖でアメリカで最も住みよい町といわれています。どこもメキシコの雰囲気が横溢しています。

サンディエゴ

この州はアメリカでも先進的な行政をするところで知られています。例えば、大気汚染などの問題でメーカー等の産業廃棄物処理・排水規制などの法律が制定されていた。また排気ガス規制など環境関連の規制が全米で最も厳しい州といわれています。ところが財政は厳しいので、一度州知事になったアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Alois Schwarzenegger) も頭が痛かったようです。

サンフランシスコ

メキシコからの移民でヒスパニック系の人口は34%を占めています。ですからメキシコ料理はどこででも楽しめます。またイタリア料理、中華料理、ベトナム料理なども美味しいところです。サンフランシスコの中華街(China Town)は世界一といえる賑やかさです。
 
カリフォルニアはハワイと並んで、多くの日本人が移住したところです。1920年代の移民を禁じる排日移民法(Immigration Act of 1924) が制定され、太平洋戦争によってさらに差別や隔離政策が進みます。日系人は土地や財産を没収さながらも子どもを教育し、現在の地位を獲得した苦労話が幾多きかれます。私の知人であるチャールズ・コバヤシ氏もそうです。苦労して州判事まで上り詰め、今はサクラメントで成長したお子さんやお孫に囲まれて引退生活を楽しんでいます。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十四 オレゴン州 Oregon Trail

オレゴン州(Oregon) は太平洋に面し、北はワシントン州、南はカリフォルニア州に接しています。ここは西部開拓の歴史が色濃く残っています。合衆国を大西洋から太平洋まで拡げるという目標のために、1800年代には本格的な開拓が進み、オレゴン街道(Oregon Trail)を経て幌馬車で東部から多くの入植者がやってきました。州都はセーラム(Salem)、最も大きい町はポートランド(Portland) です。全米では珍しくオレゴン州は消費税がありません。住みよいところとして知られる理由の1つです。

Map of Oregon

ポートランドは札幌市とほぼ同じ緯度にあり、姉妹都市関係を結んでいます。肥沃な農地を抱え、周辺の農産物が集まるところでもあります。ダウンタウンですが、コロンビア川の支流ウィラメット川 (Willamette River) の川岸は公園となっています。その一角に日本人移民の歴史公園があります。そこに移民の足跡を記すレリーフが立っています。戦前、多くに日本人が移住し、漁業や林業に携わりました。レリーフには、農業と漁業で生計をたてながら子どもを教育する姿、アメリカに同化しようとした努力、大戦中の収容所での苦しい生活、そしてアメリカ人から受けた差別に対する謝罪の言葉などが彫られています。日系アメリカ人への厳しい偏見と大戦という強い背景を描いた「ヒマラヤ杉に降る雪」(Snow Falling on Cedars)という小説があります。

オレゴン州立大学

オレゴン街道を通る幌馬車隊の苦労を追体験する「オレゴン・トレイル」というコンピュータゲームも作られたのはご承知のとおりです。オレゴン州のナンバープレートはいろいろなデザインがあります。そこにはオレゴン街道- Trail-が印字されています。札幌で育った私にはオレゴン州とポートランドは懐かしい響きがあります。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十三 オハイオ州—Birthplace of Aviation

オハイオ州(Ohio)は別名「バッカイヤ州」(Buckeye)と呼ばれています。Buckeyeとは州の木のことです。針葉樹の一種で、なんとなく形といい大きさといい、北海道に多いカシワに似たところがあります。ドングリも秋になると沢山落ちます。州都で最大の都市はコロンバス(Columbus)です。他の大きな町はクリーブランド(Cleveland)、デイトン(Dayton)、トレド(Toledo)、シンシナティ(Cincinnati)です。

Map-of-Ohio

オハイオは、五大湖の一つエリー湖(Lake Erie)に面して、その岸は500キロに及びます。この地の利を使って製造業や海運業が盛んです。東はペンシルベニア、南はケンタッキー、イリノイ、西はミシガンに接しています。

州都コロンバスにはオハイオ州立大学(Ohio State University)があります。この州の学術研究の中心的な大学です。多くの人材を輩出しています。宇宙飛行士のジョングレン(John Glenn)、ニール・アームストロング(Neil Armstrong) もオハイオの出身です。中西部には「Big Ten」という大きな大学の連合があります。ウイスコンシンやミシンガン、イリノイ、ミネソタ、アイオワ、インディアナなどの大学とともにBig Tenの一つとして、オハイオ州立大学は研究開発を競っています。スポーツもまた然りです。

Dayton, Ohio

デイトン市はライト兄弟(Wright Brothers)が初めて有人動力飛行機を組み立てたところで知られています。そのために、ナンバープレートには「Birthplace of Aviation」(飛行機発祥の地)とあります。今後、ブログでノースカロライナ州を紹介しますが、世界で初の有人動力飛行に成功したのはノースカロライナです。デイトンは、その飛行機をライト兄弟が自分たちの自転車屋で製造したのが我が町であると主張しているのです。造った所と飛ばした所が違うというのが両方の主張のようです。可笑味があります。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十二 オクラホマ州–Native America

オクラホマ州(Oklahoma) 合衆国中南部に位置し、南はテキサス州(Texas)、東はアーカンソー州(Arkansas)、北はコロラド州(Colorado)とカンザス州(Kansas)に接しています。州都はオクラホマシティ-Oklahoma Cityです。合衆国でも経済的な発展の著しい州といわれ、特に航空機産業、エネルギー産業、テレコミュニケーションやバイオテクノロジーで著しい発展をとげています。

Map of Oklahoma

オクラホマ州には沢山のネイティブアメリカンの部族が住んでいます。少なくても25の言語があるということは少なくても25の部族がいるということです。ナンバープレートには「Native America」とあります。アメリカの元祖の州、アメリカらしい州という意味です。1901年の油田発見でオイルブームが訪れて一気に発展し、この州は石油ブームの焦点となり、急速に人口を増やしていきます。タルサ(Tulsa)市は「世界の石油首都」と呼ばれるほど石油で冨を蓄積しました。

Downtown Oklahoma City

面白い逸話ですが、オクラホマ州の公式ニックネームは「Sooner State」と呼ばれます。Soonerとは早者がちとか、一番乗りの者という意味です。昔、号令とともに我先にと土地の権利を求めて幌馬車を駆って先陣争いをしたのだそうです。

オクラホマでは、決められた時刻に特定の土地が開拓者に開放され、待ちかねた開拓者が一斉に駆け出すような仕組みが作られます。公式の解放時間前に境界を越えるという規則破りは “Sooner”「抜け駆け」「早い者勝ち」と呼ばれ、このSoonerがオクラホマ州の公式ニックネーム(Sooner State)にもなります。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十 ウエスト.・ヴァジニア州 Mountain State

ウエスト.・ヴァジニア州(West Virginia)は、合衆国東部の州でアパラチア山脈(Appalachian Mountains)に位置しており、山岳州(The Mountain State)という愛称で知られています。国立公園が多く、グレート・スモーキー山脈国立公園(Great Smoky Mountains National Park)やシェナンドー国立公園(Shenandoah National Park)があります。

Morgantown


ナンバープレートに「The Mountain State」のフレーズが見えます。すべての地域が山岳内にあります。州都で最大の町はチャールストン(Charleston)となっています。北部はペンシルベニア州(Pennsylvania)、北部及び西部はオハイオ州、西部はケンタッキー州、北部及び東部はメリーランド州、東部及び南部はヴァジニア州と隣りあっています。

Capitol of West Virginia

ウェスト・ヴァジニア州は、合衆国の州の中で経済的に最も恵まれない州の一つです。アーカンソー州及びミシシッピ州に次いで、1人当たりの収入が3番目に低い州といわれています。さらに平均世帯収入は最低という数字となっています。国勢調査局のデータがそれを伝えています。ウェスト・ヴァジニア州の4年制大学卒の人口の割合は15%であり、合衆国内で最低となっています。貧しい人口が多いことを示しています。

ウェスト・ヴァジニア州経済の主要な資源のひとつは石炭でです。中小規模の石油及び天然ガスも開発されています。農業は狭い平野に限定されています。山岳地帯のウェストバージニアはヨーロッパからの移民が入ってくる前は、ネイティブアメリカンの狩猟の場だったようです。

1971年にジョン・デンバー(John Denver)の「Take Me Home, Country Roads」(故郷への道)という歌が大流行しました。この歌詞は、デンバーがこの州をドライブしたときのことをモチーフにしています。

 Country Roads take me home
To the place I belong
West Virginia mountain momma
Take me home Country Roads

   田舎道が俺を故郷へ連れて行く
    俺が育ったところ
     ウェスト・ヴァジニアは母なる山
      田舎道が俺を故郷へ連れて行く

ウェスト・ヴァジニア州は、山が連なる地形、広大な川の谷合い、豊富な自然資源の影響を大きく受けています。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十 ウィスコンシン州–America’s Dairy Land

ウィスコンシン州(Wisconsin)は北はカナダと国境を接し、東はミシガン湖が広がり、西はミネソタ州、南はイリノイ州に囲まれています。大昔、氷河が覆い、そのため土をけずって大小の湖をつくりました。氷河は石や岩を運びながらなだらかな丘陵もつくってきました。岩に削られた湖があちこちにあります。そのために平たい農場は少なく、酪農が盛んになりました。北海道の富良野や帯広のあたりに似た景色が広がります。

Wisconsin red highlighted in map of US

気候は内陸のために寒暖がはっきりして、夏は30度以上になることもしばしばです。冬の寒さといえば筆舌に尽くしがたいような日が何日も続きます。家の中は暖房がきいてT-シャツで過ごせます。スポーツといえばアイスホッケーが盛んで、どの高校にもホッケー部があります。バレーボールも有名で2021年の全米女子バレーボール大会でウィスコンシン大学はネブラスカ大学を破り優勝しました。冬の楽しみ方は皆が知っています。
 
ナンバープレートには「アメリカの酪農の地」(America’s Dairy Land)と記されています。そして納屋とサイロが描かれています。乳製品で有名な州です。1997年のスーパーボウルを制したグリーンベイパッカーズ(Greenbay Packers) の本拠はウィスコンシン。そのときファンがかぶったのがチーズヘッド(cheese head)というチーズをかたどった帽子でした。沢山の種類のチーズが楽しめます。ワイン、麦酒に欠かせないおつまみです。酪農の地ですから、ステーキもまた格別です。分厚いフィレミヨンはいいです。肉を焼いてステーキソースをかけるのが一般的な食べ方です。

酪農のウィスコンシン州

ウィスコンシンは北欧やドイツ、ポーランドの移民が多い州です。そのためソーセージ類もまた沢山の種類がつくられています。スパイスをきかせた肉がたっぷりな巨大なソーセージは、「アメリカの酪農の地」に恥じないものです。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その九 インディアナ州–The Crossroads of America

インディアナ(Indiana)の州都はインディアナポリス(Indianapolis)。ちょうど鉄道や沢山のインターステイツ(Interstate Highway)が交差するところにあります。また「ユニオン・ステーション」(Union Station)が最初に建てられたところとしても知られています。そのため、ナンバープレートには「The Crossroads of America」と印字されています。合衆国の大きな駅はユニオン・ステーションと命名されているのをご存じでしょうか。

Map of Indiana

北にミシガン州(Michiigan)、東にオハイオ州(Ohio)、東にケンタッキー州(Kentucky)そして南と西にイリノイ州と接しています。北西部はシカゴ市の巨大な都市圏となっていて、産業が盛んです。その中心がゲーリー市(Gary)です。

インディアナはCorn Beltと呼ばれるウモロコシの農場が広がります。トウモロコシは養鶏や養豚の飼料となります。飼料は世界中に輸出されています。2021年のトウモロコシの輸入価格は20%位上昇しそうだとの報道です。石油や輸送費の値上げが響いているようです。それでもアメリカは穀物市場を押さえています。その中心がインディアナということです。大豆、鶏卵、メロン、トマト、ブドウ、タバコ、ハッカの生産も盛んです。

Dinosaur Museum


 
州北西部は合衆国内の最大なスチール生産地域となっており、製造業は自動車、電気設備、化学製品、ゴム、石油及び石炭製品、並びに産業機械となっています。研究開発の中心は、インディアナ大学(Indiana University), インディアナ州立大学(Indiana State University)、パデュ大学(Purdue University)、ボール州立大学(Ball State University ),ノートルダム大学(University of Notre Dame)などの大学です。すべて全米の一流大学となっています。プロもカレッジスポーツも全米で強いところです。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その八 イリノイ州–Land of Lincoln

イリノイ大学(University of Illinois)は全米屈指の大学です。日本からも多くの留学生が学んでいます。日本から直行便で12時間、オヘア国際空港(O’Hare International Airport)に着くとそこはシカゴ、イリノイ州(Illinois)です。シカゴ(Chicago)は誰でもが聞いたことのある大都会です。

イリノイの州都はシカゴではなくスプリングフィールド(Springfield)です。エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)が生まれ育った町で知られています。アメリカは一番大きな街が州都になるとは限りません。例えばカリフォルニアは州都がサクラメント(Sacramento)です。サンフランシスコ(San Francisco)やロスアンジェルス(Los Angels)は遥かに大きな都市ですが州都ではありません。

Map of Illinois

さて、リンカーンのことです。アメリカ第16代の大統領です。その功績は人種差別運動の先駆者ともいうべき人とされています。その運度の伏線には、ハリエット・ストウ(Harriet Stowe)という小説家が書いた「Uncle Tom’s Cabin」があります。この作品で、当時の黒人の生活と差別の実態が全米の人々に知れ渡ることになります。差別への関心がやがて、アメリカを二分する南北戦争(Civil War)へ突入していきます。

Corn Field


南北戦争を主題にした小説がマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)の「風と友に去りぬ(Gone with the Wind)」です。アメリカ南部は綿花栽培が中心。畑には多くのが黒人労働者が使われていました。メイド役の黒人女性マミー(Mammy)が、一人娘の死で打ちひしがれる農場主レット・バトラー(Rhett Butler)を慰めるシーンがありました。帰還する兵士アシュレー(Ashley Wilkes)を見て、スカーレット・オハラ(Scarlett O’Hara)がかけ寄ろうとするのを押しとどめるのはこのメイドでした。

南北戦争が終わり、リンカーンは二分しかかったアメリカを一つにしようと呼びかけた有名な演説をします。後にゲティスバーグ演説(Gettysburg Address)と呼ばれる奴隷解放宣言です。イリノイ州のナンバープレートには「Land of Lincoln」と記されています。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その七 アリゾナ州–Grand Canyon State

アリゾナ州(Arizona)はニューメキシコ(New Mexico)、ユタ(Utah)、ネバダ(Nevada)、コロラド(Colorado)、カリフォルニア州(California)と隣接しています。さらに、南はメキシコと長い国境を有しています。今もナバホ(Navajo)、アパッチ(Apache)、ユマ(Yuma)などの部族の居留地が点在しています。サボテンや椰子など砂漠の風景で有名です。州の北部と中央部は松など常緑樹で覆われた高地でもあり、大渓谷(Grand Canyon)の大自然が広がります。地球の裂け目といわれる標高差1.6キロの谷底は観光客を魅了します。

州都はフェニックス(Pheonix)です。非常に暑い夏と温暖な冬として知られています。1990年6月に最高気温摂氏50度を記録したこともあるとか。大渓谷に代表される峡谷や砂漠など、自然の造形を楽しめ、合衆国でも際立って広大な自然に恵まれたエリアです。現在は、米国ハイテク産業の一大拠点となっています。

Sedona, Arizona

フェニックスから車で北に走ること2時間。セドーナ(Sedona)に着きます。青空を背にそびえ立つ不思議な形の赤い岩山、そこに立つ教会堂、その前を流れる渓流。数多くのハイキング・トレイル。赤い岩の山は鉄分を多く含んでいます。その独特の景観からセドナ一帯は「レッド・ロック・カントリー(Red Rock Country)」と呼ばれています。フェニックスに来たら必ず寄らなければならない所です。

Sedona, Arizona

ナンバープレートには「Grand Canyon State」とあります。最近のものには、「環境を護ろう」(Protect our environment)というフレーズも入っています。

ナンバープレートを通してのアメリカの州 その六 アラバマ州–The Heart of Dixie

アラバマ州(Alabama)は合衆国の南部に位置する州です。西はミシシッピ州、北はテネシー州、東はジョージア州と接し、南はフロリダ州と境をなしています。州都はモンゴメリー(Montgomery)の他にバーミングハムBirminghamや、マーシャル宇宙飛行センター(Marshall Space Flight Center)で知られるハンツビル(Huntsville)といった都市もあります。

アラバマ州

州の東側はアパラチア高原(Appalachian Plateau)となっていて、鉱物資源が豊富です。ですが主要な産業は農業といえます。生産品は家禽及び卵、牛、植物苗床品目、落花生、綿、トウモロコシ及びモロコシ等の穀物、野菜、大豆、桃となっています。かっては 「綿花の州」(The Cotton State)とういニックネームがこの州についていたほどです。

アラバマ州の歴史で忘れてはならないのが、公民権運動の展開です。黒人差別が厳しい州であったからです。「ジム・クロウ法」(Jim Crow)という人種分離法がつくられていて、交通機関、駅、トイレ、映画館、学校や図書館などの公共機関、ホテル、レストラン、バーなどで白人と有色人種(the colored)を分離することが正当化されていました。
 
1955年州都モンゴメリーで起こったローザ・パークス(Rosa Parks)逮捕事件が公民権運動の口火を切ったとされます。彼女は当時、白人専用のバスに乗り込んで逮捕されます。これをきっかけに、キング牧師らがモントゴメリー市民に対するバス・ボイコットの運動を始めます。運動は全米に反響を及ぼし、1956年には合衆国最高裁判所が「バス車内における人種分離(白人専用及び優先座席)を違憲とする判決を出します。そしてようやく、1964年7月に公民権法(Civil Rights Act)が制定され、長年続いてきた法の上での人種差別は終わりを告げます。

アラバマ州境

人種隔離政策などで過激な主張を繰り返したアラバマ州知事のジョージ・ウォレス(George Wallace)は知られています。その代表は「I say segregation now, segregation tomorrow, segregation forever.」というおぞましい文句です。後に彼は大統領選挙にも出馬するという異色の知事でした。