キリスト教音楽の旅 その8 オルガンの歴史 その2 その種類

15世紀頃からローマカトリック教会では、オルガンミサ曲、オルガンヒム(organ hymns)が作られていました。こうした楽曲は本来声で歌われるグレゴリオ聖歌を定旋律として用いられ、オルガンによって歌唱が交互に奏せられるようになりました。これが今日の礼拝の形式となっています。

バロック時代には使徒書(Apostle)と福音書(Gospel)との間でトッカータ(toccata)が演奏されました。トッカータはオルガンによる即興的な楽曲で、技巧的な表現が特徴の音楽です。英国国教会でも礼拝の前後に奏楽され、会衆の歌のための前奏曲(hymn prelude)が即興で演奏されます。プロテスタント教会も礼拝ではこうした奏楽形式を採用しています。

オルガンは鍵盤楽器のなかでは最も歴史が古いものです。その大きさもひざの上にのるポルタティーフ(portative)と呼ばれる左手でフイゴからパイプに空気を送り、右手は鍵盤でメロディを奏でるもの、やや大きいポジティフ(positive)という据え置き型のもの、そして礼拝堂に組み込まれる巨大なものまであります。大オルガンの場合、その複雑な構造は楽器の中では他に類をみないものとなっています。

オルガンの構造は、ふいご、あるいは送風機で起こる風、それを空気タンクで調節して一定の風圧にして送風管に送るのです。直接音を出すのは管(パイプ)です。一管で一つの音のみを発音し、音階や音程を変えることができません。それだけにオルガンは多数の管を必要とします。管は音の高さにょって並べられ、単一の音色をもつ一列だけでも楽器として成り立ちます。例えば、スズと鉛の合金で作られる金管や木管だけのものもあります。金管は二つの金属の含有量によって音色が変わるといわるほど微妙な楽器なのです。通常は金管と木管の組み合わせによって、音色や音量を得るのです。それにより多様きわまりない変化が可能となるのです。まさに楽器の王様といえるえしょう。