キリスト教音楽の旅 その7 オルガンの歴史 その1

教会で用いられる器楽の代表はなんといってもオルガンということになります。歌や合唱を支えたり、単独でも演奏されるのがオルガンです。ルター派の教会では、オルガン奏者が歌詞の意味を汲んで、各節ごとに伴奏の和声を変えることがしばしばあります。典礼におけるオルガンと奏者の役割は誠に大きいといえます。

バロック時代(baroque)ではオルガンではなく、ハープシコード (harpsichord)や弦楽合奏がみられました。現代ではピアノやギター、ドラムなども使われます。その変遷は各教派によって異なります。

ルター派教会立バルパライソ大学の礼拝堂

多くの教派のうち、オルガン音楽に重きを置いたのはルター派です。特にバロック時代ではコラール旋律を定旋律として用いたオルガンコラールが多数作曲されます。コラール前奏曲はコラール歌唱に結びつき、まさに礼拝音楽といえるものです。コラール・フーガ(coral fuga)、コラール・ファンタジア(coral fantasia)は礼拝の前後や中盤で奏せられます。こうした音楽は会衆の信仰的な情動を呼び覚ます役割もあるといえそうです。