心に残る名曲 その百九十 エネスク 「Oedipe」

ルーマニア(Romaniaの作曲家にジョージ・エネスク(George Enescu)がいます。ルーマニアといえば、1989年12月にニコラエ・チャウシェスク(Nicolae Ceausescu)の独裁政権が市民革命によって打倒され、民主化へ踏み出した記憶に新しいことです。ですがその後の民主化の道のりは今なお険しいようです。

エネスクは7歳のときにウィーン音楽院(Vienna Conservatoryに入りヴァイオリンを学び始めます。1894年にはブラームス(Johannes Brahms)と親交を結び、本格的な古典音楽のスタイルを学びます。1895年にパリへ聴き、パリ音楽院では和声、対位法、古楽など作曲に関して幅広く学びます。1899年にパリ音楽院(Paris Conservatory)のコンクールでヴァイオリン部門において最高賞を受賞します。

演奏家として幅広いレパートリーを持ち、ほぼ全ての作品を暗譜で演奏、指揮することができるほど、音楽史上の音楽家の作品を研究していたといわれます。バッハ(J. Bach)やワーグナー(R. Wagner)への傾倒するような作品や、新古典主義の風潮、半音階による複雑な旋律などの作風を表していきます。

エネスクの器楽曲では技巧に彩られた多彩な旋律が伸びやかに演奏されます。ルバート(rubato)というテンポにとらわれず、自由に感情表現を行う演奏の仕方を駆使して作曲します。祖国ルーマニアの音楽を題材にした作品も多く創作しています。「パルランド・ルパード」(Parlando rubato)というルーマニアの民族的哀歌の旋律は全作品を通じて現れ、その装飾的な音の動きはエネスクの特徴の一つといわれます。「Balada pentru vioara」、「Rumanian Rhapsody」、「Legende」、「Oedipe」などの作品にそれが伺えます。

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