心に残る名曲  その百八十五 シューマン 交響曲第1番 変ロ長調 「春」

再び古典派の音楽に戻ります。文学に造詣が深い作曲家の一人に、ロベルト・シューマン(Robert Schumann)がいます。文学から得た詩的な幻想を創作に活かすのです。作品に様々な題名を付けたのがシューマンです。ピアニストのクララ(Clara Wieck-Schumann)との恋愛と結婚は、シューマンの創作活動に多大な影響を及ぼしたといわれます。

ピアノソナタ第3番「子供の情景」(Kinderszenen)のように、大人が見た子どもの日常の様子を精密に綴ったもの、ピアノソナタの「フモレスケ」(Humoreske)変ロ長調は詩として劇として展開されている曲です。交響曲第1番 変ロ長調 「」は、春というイメージを言葉ではなく、音によって詩にしたようです。壮大で壮麗な第一楽章は長い冬が明けた喜びや草花の息吹を感じさせてくれます。

ピアノ曲「謝肉祭」や「交響的練習曲」、「詩人の恋」など、詩は主題や対象を説明するのではなく、暗示的に表現するものとなっています。す。「謝肉祭」では、小品の集まりが一つの曲として構成されていて、文学的で幻想的な構成となっています。音楽は描写するのではなく、主題を暗示するものだと考えていたようです。

作曲家の中には、自然や生活の細部を描写する表題的な音楽としたり、技巧を追求する構成とする音楽を作る人もいます。シューマンは少し違うようです。詩は着想を得る契機とするのであり、詩を音楽で表現するのではないと主張しているようです。このあたりの解釈は私にはわかりかねます。

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