心に残る名曲  その百四十九 アルカデルト 「 Ave Maria」

ジャック・アルカデルト(Jacques Arcadelt)という作曲家と作品の紹介です。生まれは今のベルギーといわれますが、生地や経歴が不明なことが多い作曲家です。アルカデルトは若くしてイタリアに赴き、フィレンツェ(Florence)やローマ(Rome)で活動します。フィレンツェではメディチ家(Medici)と親交をもったようです。1531年に最初の曲であるモテット(motet)やマドリガル(madorigal)をドイツにて出版します。1540年にパウロ三世(Paul III)の治世下、ローマのシスティナ礼拝堂(Cappella Sistina)聖歌隊の隊員となり,同地でミケランジェロ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni)と親交を結びます。その後フランスに移り,フランス国王の宮廷礼拝堂などで活躍します。

アルカデルトの本領は世俗歌曲–マドリガルやシャンソンにあります。同時代のフランドル楽派(Flemish school)の作曲家たちと同じく,作品は活動地イタリアの地域性を反映させるものとなります。宗教作品も多いのですが,世俗的な声楽作品を得意とし,充実した和声感に満たされた模倣書法を示す200曲のマドリガルやその様式に類似した120曲のシャンソンを作っています。

同時代のイタリア人作曲であるフェスタ(Costanzo Festa)やヴェルデロット(Philippe Verdelot)とともにイタリアの世俗音楽の発展に寄与します。その影響を受けたひとりがパレストリーナ(Giovanni Pierluigi da Palestrina)といわれます。 有名な「アヴェ・マリア」(Ave Maria)をお聴きください。