留学の奨め その15 感謝祭と植民地

Thanksgivingの頃の気候は誠に厳しい。木々の葉はすっかり散り、雪が冷たい風に吹かれて舞う。それだけに家の中の人々の高揚した雰囲気は格別なものがある。祝いの飾り付けも綺麗だ。家の主人はエプロンを着て張り切っている。

マディソンにいた頃、ミルウォーキー(Milwaukee)に住むかつての宣教師ご一家の晩餐に招かれたことがある。インターステート90(Interstate 90: I-90)を車で飛ばした。I-90は、シアトル(Seattle)からボストン(Boston)に至る4,990キロの全米で最も長い州間高速道路である。途中、シカゴ(Chicago)やクリーブランド(Cleveland)、シラキュース(Syracuse)などを通過する。道路際の至るところに「鹿に注意」の看板がでている。

午前中は教会でThanksgivingの礼拝が執り行われる。説教の題となるキーワードは平和、愛、捧げ、喜び、感謝、恵みなどである。例えば詩篇106章の1節では、
「主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで」
“Give thanks to the Lord, for He is good. His love endures forever.” と読み上げられる。

ボストンの南東にある半島はケープコッド(Cape Cod)と呼ばれる。ヨーロッパからの漁民が鱈を求めてきたところのようである。そこに移民しようとした人々は、砂地で水がないことからケープコッドをあきらめプリマスのあたりに植民地:コロニーをつくったとある。移民の中には干ばつや飢饉により多数の餓死者がでるほど、苦しい生活を強いられたようである。それだけに豊穣な収穫に対する感謝がThanksgivingにつながったといわれる。
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