IEPはどうなっているか その7 プリンスウイリアム郡学校区  IEP作成の過程(1)

ヴァージニア州にプリンスウイリアム郡学校区(Prince William County Public School)がある。生徒数は85,055人、学校数は93校である。生徒数では、ヴァージニア州で二番目に大きな学校区である。特別支援教育を受ける生徒の割合は11.3%、貧困世帯からの生徒は 35.2%となっている。生徒一人あたりの教育費は平均10,334ドル(110万円)となっている。国際バカロレア機構(International Baccalaureate)で認定を受けているのは全79学校のうち、3小学校、3中学校、2高校となっている。

この学校区でIEPの作成と実施状況を調査した。我が国でのIEPの現状を考えるのに大いに参考になるので紹介する。

障がいのある子どもたちと青年のために、無償で適切な公教育を保障することを目的とした主な文書が、個別指導計画:IEP(以下IEPと略す)である。プリンスウイリアム郡学校区ではIEPの作成にいたる詳細な手続きが決められ、それに沿った各種の様式がある。IEPカンファレンスを開始する前に教育委員会がしなければならないことがある。それを記述しているのは、「様式40-05」と呼ばれるものだ。保護者が出席する機会を保障するために、早い時期に電話やメール、その他の方法によって呼びかけることが規定されている。適正と考えられるサービス提供者とその他のスタッフメンバーを参加させること、そのために、保護者、スタッフへの連絡期間として3日から5日間が適当とされている。その手続きの一部を紹介する。

A. IEPカンファレンスを開始する前に(様式40-05)
1. 様式40-05を送付するとき、障がい児教育における保護者の権利についての複写を添付する。
2. もし、生徒が18歳あるいはそれ以上の年齢である場合、保護者が持っている全障がい児教育法でうたわれる
権利は生徒に移される。教育委員会のスタッフは、IEPプロセスにおける欠くことのできない部分として、保護者に参加してもらうことを念頭におく。
3. 移行目標をIEPに記載するとき、IEPカンファレンスに生徒を呼ばなければならない。
4. 以下に記されている人は、IEPカンファレンスに参加する必要がある。
・計画作りをまとめる人(管理者)
・障がい児教育担当教師
・生徒を担当している通常学級担任一人(もし通常学級に生徒が参加している場合)
・カリキュラムに精通している通常学級の教員一人(もしIEPが実施されている期間中にその生徒が普通教育へ参加する可能性がある場合)
5. 以下の人は、予告期間中にIEPカンファレンス に参加しなければならない。
・保護者
・生徒(もしIEP実施期間中に14歳あるいはそれ以上の年齢であれば)
・関係のあるサービス提供者
・移行サービスの規定の中に記されている代理人代表者
6. 基礎となる学校以外の学校に通学する場合、措置選択に関するカンファレンスを行う前に適当な障がい児教育スーパーバイザーがIEPカンファレンス に出席する場合、彼らは、IEP委員会の委員長を務めることになる。もしプリンスウイリアム郡内におけるパブリックデイプログラムへの措置が、一つの考慮事項となるのであれば、その手続きについては、注意事項の691,02-7に示されている。
7. プリンスウイリアム郡の学校以外で措置される場合、障がい児教育のスーパーバイザーは、カンファレンスに出席しなければならない。そしてIEP委員会の委員長として務めることもある。もしそのような措置がカンファレンスで持ち上がったならば、スーパーバイザーが出席するまでカンファレンスを延期する必要がある。

B. 生徒の実態についての情報を整理すること(様式40-10)
生徒:学校の記録用紙に生徒の氏名を記載すること。もし、その生徒が他の名前で認められているのであれば、それを挿入すること。
親学校:もし障がい児教育をおこなっていないのであれば、生徒が通学する学校について検討する
学年:IEPを適用する生徒の学年を示すこと。

C. 現在IEPを受ける有資格者であることを再確認すること
もし、1998年7月1日以前にIEPの効果を見直すのであれば、1997年〜1998年のIEPを見直し、目標ページに目標の進行状況を示さねばならない。

IEP目標の進行状況は、「手続き」欄に記載されているデータを使って「評価」欄にリストされている評価によって記録されなければならない。一般的には、結果は「80%達成」、「95%達成」、「目標まで習得していない」などという表現で記述される。「進歩している」、「現状維持」といった用語によって目標結果を示すことは許されない。

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