留学を考える その4 国際リベラルアーツ

「国際リベラルアーツ」という名称は比較的新しい。このカリキュラムであるが、原則英語での授業、国際教養科目の充実などを強調している。また外国人留学生との交流とか留学を義務付けるというのもある。これといって珍しいことではない。国際リベラルアーツは、今日の大学改革、とりわけ国立大学法人に対して求められている再編成の圧力が強まっていることもみのがせない。人文・社会科学系学部再構築は、世界の政治や経済、文化を学べるコースを用意し、国際的に活躍できる人材を育てる拠点にするというのが主流のようである。

なぜこのような様相になってきているかである。それは国の指針「グローバル人材育成戦略」があり、大学はそれに沿って学部を新設しようとしている。我が国を取り巻くグローバル化は急速に進展しているといっても、1990年後半からの海外留学生数の減少、海外勤務を希望しない内向きの学生の増加が報告されてきた。そのため、政府もこのような状況を危惧し「グローバル人材育成推進会議 審議まとめ」を発表した。「高校・大学、企業、政府・行政、保護者等が積極的に若い世代を後押しする環境を社会全体で生み出すことが不可欠」と提言している。これが文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援事業」につながっている。

2014年には、長崎大学が「多文化社会学部」を設置している。「長崎という地域の窓を通して、多文化が触れ合い、せめぎ合い、そして協働する国際社会と向き合う学部」とある。同じく2014年には山梨学院大学が「国際リベラルアーツ学部」をつくっている。専任教官の8割以上が外国人といううたい文句である。だが国際系学部は過当競争に陥りつつある。筆者には大学間の差別化が難しくなっているように思える。そこには学生募集に奔走している姿が映る。大学が新しい学部をつくりグローバル化の牽引役になろとしても、そうたやすく事が運ぶものではないはずである。

ipad_intersectionA5E9A5D5A5A1A5A8A5EDA4CEB4D6A1D6A5A2A5C6A5CDA4CEB3D8C6B2A1D7 システィーナ礼拝堂