日本にやって来て活躍した外国人 その三十三  ヘンリー・ダイアー

グラスゴー大学 (University of Glasgow)は、スコットランド(Scotland)のグラスゴー市(Glasgow)に本部を置くイギリスの大学です。1451年に設置されました。500年以上の歴史を有する英語圏最古の大学の一つです。1840年に英国で最初に設置された工学部があり、産業革命で大きな役割を果たした人材を送りだした大学です。

University of Glasgow

中世からカトリック教会の聖職者を輩出し、近世では、蒸気機関の発明や電力単位のワット(W)で知られるジェームズ・ワット(James Watt)、経済学の祖であり国富論を著したアダム・スミス(Adam Smith)、物理学者のウィリアム・トムソン(William Thomson)など歴史上の重要人物も多く輩出している大学です。ヘンリー・ダイアー(Henry Dyer)またグラスゴー大学の出身です。大学の工学部にあたるアンダーソンズ・カレッジ(Anderson College)を卒業します。

Henry Dyer

ダイアーは日本の産業発展に貢献すべく創設された工部省工学寮工学校(東京大学工学部の前身)に招かれエンジニア教育に従事します。教鞭を執ったダイアーの方針は、専門分野の学力をつけること、実践力を磨くこと、専門職に直接役立たないような教養も学ぶことでありました。工部大学校は1873年に開校し、基礎・教養教育、専門教育、実地教育をそれぞれ2年とする6年制とし、土木学・電信学・機械学・造家学(建築)・化学・冶金学・鉱山学の7学科が設けられます。後に造船学と紡績学の2科が追加されたが、9名の教授陣はすべてイギリス人で占められていました。

Adam Smith

グラスゴー大学には世界各国からエリート層が留学して来るようになり、母国で政治家や科学者となって国家に貢献した卒業生も多い。日本からの留学生も帰国後に名声を得たものが多く、著名人としては化学者でタカジアスターゼとアドレナリン(adrenaline)という分泌物からの薬を発明した高峰譲吉、日本のウイスキーの父とよばれた竹鶴政孝などがいます。