アジアの小国の旅 その七十六  ソマリア

ソマリア(Republic of Somalia)は、東アフリカのアフリカの角(African Horn)と呼ばれる地域を占める国です。飢餓に苦しむ貧しい国というイメージが浮かびます。エチオピア(Ethiopia)、ケニア(Kenya)およびジブチ(Djibouti)と国境を接し、インド洋とアデン湾(Gulf of Aden)に面しています。

19世紀まではイギリスとイタリアの保護領として、北部はイギリス領、南部はイタリア領に分割統治されていました。1960年に南北が独立と同時に合併して「ソマリア共和国」を形成します。1991年に内戦が起こって以来、無政府状態が続いていましたが、2012年11月に「ソマリア連邦共和国」として、21年ぶりに統一政府が樹立されます。

1969年のクーデターによりバレ政権(Barre regime)が誕生します。1991年、バレ政権が崩壊して内戦状態になり、同年5月には北部で「ソマリランド共和国」(Republic of Somaliland)が分離独立を宣言します。また1998年7月には北東部で「プントランド」(Puntlaand)も自治政府の樹立を宣言します。 特に、旧イギリス領にあたるソマリランド共和国は、国際社会では「国家」として承認されていない「未承認国家」ですが、ソマリアの中で最も治安がよく、安定した政治体制が築かれていて、独立国家としての機能を有しているといわれます。

1991年に崩壊して以来,ソマリアは,全土を実効的に支配する政府が存在しない状態に陥ります。劣悪な治安状況の下,大量の難民及び国内避難民が発生します。干ばつが加わり,食糧不足が悪化し重大な人道危機が生じます。世界中でこの危機が報道されたのは真新しことです。1992年以降,停戦監視及び被災民援助活動の支援のために国連ソマリア活動(UNOSOM: United Nations Operation in Somalia)が設立され,アメリカを中心とする統一タスクフォース(UNITAF: Unified Task Force)の活動が開始されます。しかし武装勢力の激しい抵抗を受けて、1995年3月には完全撤退を余儀なくされます。2018年1月現在,緊急人道支援を必要とする人口は390万人に及ぶといわれます。