アジアの小国の旅 その七十五  イエメン

イエメン(Republic of Yemen)は中東のアラビア半島南端部に位置する共和制国家です。紀元前10世紀頃は、古代のイエメンの王国はインドと地中海及び東アフリカの貿易の中継地として繁栄したようです。そのため古代ギリシャ人やローマ人から「アラビアン・フェリックス」(Arabian Felix)と呼ばれます。ラテン語で「幸福なアラビア」という意味だそうです。ヘレニズム(Hellenism)やローマ時代の地理学者が,現在のアラビア半島南半部を呼んだ名称です。オマーンと同様に香料の産地で豊かな王国と考えられていたようです。

 イエメンの現代史です。1839年に英国がアデン(Aden)を占領し、以降南イエメン地域を保護領とします。その後イエメン・アラブ共和国が成立します。1962年に南アラビア連邦が発足しますが,反英運動が激化し,1967年英国から南イエメン人民共和国として独立します。1969年には社会主義政権が誕生し,1970年にイエメン民主人民共和国と国名を改めます

 東西冷戦構造の中で、1970年代,1980年代には南北イエメン間でたびたび武力衝突がおこりますが、南北で分裂していたイエメンは1990年に「イエメン共和国」に統一されます。しかし、イエメン国内での度重なる戦乱や弱体な中央政府、覚醒作用をもたらすカート(Khat)の栽培と使用の広がり、Wikipediaによると、イエメンにおける全雇用の15%がカート関連産業であるといわれます。さらにイスラーム過激派の跳梁といった問題を抱えています。世界の最貧国の一つとして知られています。