アジアの小国の旅 その六十七 イスラエルとシオニズム

イスラエル(State of Israel)を小国と呼ぶには大いにためらうのですが、国土の面積が日本の四国程度の大きさなのです。そのようなわけで小国と呼んでおきます。人口は890万人くらいです。この国ほど建国にいたる歴史において劇的な経過を辿った国は他にないだろうと思われます。このようなイスラエルの歴史を数回にわたり取り上げます。

地中海沿岸の東に位置するイスラエルは、北東にシリア(Syria)、南東にヨルダン(Jordan)、南西にエジプト(Egypt)と面しています。首都はエルサレム(Jerusalem)であるとイスラエルは主張していますが、各国からは広い支持を得てはいません。

イスラエルは、ユダヤ人(Jewish)によって作られた歴史的には若い国です。しかし、その建国に至る歴史は旧約聖書時代に遡るほど古いものです。イスラエルの国土は、もとはローマ帝国(Roman Empire)の一部であり、その後はビザンチン帝国(Byzantine Empire)の領土となります。7世紀にはイスラム帝国 (Islamic Caliphate)によって征服されます。 十字軍(Crusades)が派遣されてくる頃、この地域はパレスチナ(Palestine)と呼ばれるようになります。そしてオスマン帝国(Ottoman Empire)の支配が第一次大戦まで続きます。大戦後は世界連盟(League of Nations)の決議でイギリスの占領統治下に入ります。イギリスはユダヤ人の民族郷土建設の考え方を支持していきます。

その施策を進めたのが初代高等弁務官(High Commissioner)でユダヤ系イギリス人のハーバート・サミュエル(Herbert Samuel)です。ユダヤ人はパレスチナへの移民を進め、ユダヤ機関を設置したり自警組織を結成し、ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)の開校などを進めるのです。これはユダヤ人の国家建設に向けての運動でありました。