ヨーロッパの小国の旅 その四十五 大航海時代の幕開け

ポルトガルは、日本人にとってヨーロッパの歴史を学ぶ時には、身近に感じる国です。それは、種子島にポルトガル人によって鉄砲が伝来したこと、ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)という探検家がアフリカ南岸を経てインドへ航海した記録に残る最初のヨーロッパ人であることを学ぶからです。このインド航路の開拓によって、ポルトガル海上帝国の基礎が築かれたというのですから、ガマの貢献は偉大というしかありません。

ユーラシア大陸最西端にポルトガルは位置します。大河、テージョ川(Tejo)が流れています。その河口に位置するのがポルトガルの首都リスボン(Lisboan)です。この街の歴史は紀元前1000年頃、フェニキア人(Phoenicia)の港が築かれた頃まで遡ります。フェニキア人とはギリシア人による呼称で、地中海方面からメソポタミア、アラビア半島に渡って、海上交易をしていた人々いわれます。ギリシア人は、こうした交易などを目的に東から来た人々をフェニキア人と呼んでいました。当時リスボンはアリス・ウーボ(Alice Ubo)「穏やかな港」と呼ばれていました。

Vasco da Gama

その後のローマ時代、ムーア人(Moor)による支配の時代と、支配者が変わる度に街は名前を変えました。8世紀から400年以上にわたって続いたムーア人の支配から街を解放したのがアフォンソ・エンリケス(Afonso Henriques)です。この時、街の名前がリスボンと定められました。ムーア人といえばこのシリーズの第36回で取り上げた悲劇「Othello」に登場し、妻デズデモーナ(Desdemona)の貞操を疑うヴェニスの軍人を思い出します。

鉄砲伝来

そして15世紀、アフォンソ1世(Afonso I)の頃行われた西アフリカ方面への遠征が大航海時代の始まりというわけです。ガマやフェルナンド・マゼラン(Ferdinand Magellan)、クリストファ・コロンブス(Christopher Columbus)など国籍は違いますが、多くの探検家がこのリスボンで学んだといわれます。